中央クリニック

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男性不妊外来
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妊娠・不妊治療のご相談
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中央クリニックは特定不妊治療費助成事業指定医療機関です。
お住まいの地域によって助成内容などが異なりますので、詳しくはお住まいの県・市町村のホームページ等をご覧下さい。
なお、当クリニックは栃木県や茨城県以外の地域にお住まいの方でも助成を受けていただくことができます。
詳しくは、窓口またはお電話にてお問合せください。

不妊症の治療

高度生殖医療

  • 高度生殖医療とは その目的と方法を理解する

    一般不妊治療で妊娠できなかった患者さんに対しては、より専門的な高度生殖医療が行われます。この治療は生殖補助医療(ART)とも呼ばれています。

    いまから20年ほど前、たとえば卵管がない患者さんなどの場合は妊娠が不可能でしたが、現在ではARTのおかげで妊娠が可能になりました。また最近では、高度乏精子症、無精子症の方への治療も行うことができるようになりました。

  • 体外受精-胚移植(IVF-ET)

    良好な卵子をたくさん育て、体外で精子と受精させて良好胚をつくり、専用の注入器を使って子宮腔内に移植するのが「体外受精-胚移植(IVF-ET)」です。自然の妊娠に置き換えると、卵管内で起こっている受精という現象と同じことを体外で行うことになります。

    胚移植は痛みを伴わないので麻酔などは使用しません。胚移植後約30分、クリニックの回復室で安静にしていればよいので、外来診療で行える治療です。

    採卵  →  体外受精  →  胚移植までの流れ
    1. 採卵
    卵子を卵胞液ごと採取し、卵子1つひとつの有無を判定。
    十分に成熟したものを体外受精に使用する。
    2. 体外受精
    成熟度のよい卵子を培養液の中で精子と一緒にする。
    その後、卵子と精子が授精すると胚分割が起こり、約72時間後には胚移植可能な6分割以上の胚になる。
    3. 胚移植
    日本産科婦人科学会の見解により子宮内に移植できる分割胚は原則として1個。ただし、条件に応じて2個まで許容される。
    胚移植の検査と治療
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    ● 自然排卵を抑制しながら卵胞を育てる

    まず、体外受精(IVF)を行うには、効率よく治療するためにできるだけたくさんの卵子を採取します。卵子の採取が目的であるため、採卵直前に脳からの指令で排卵が起こってしまっては意味がありません。そのため、鼻から吸うスプレー状のホルモン剤(薬剤名・ブセレリン)を投与し、卵胞が約2cm弱の大きさに成長するまで排卵を抑えます。

    [ブセレリン使用の注意点]
    ブセレリンは、約20日間にわたって1日3回使用しなければなりません。そのため、患者さんが自宅や勤務先などで使用することになりますが、その際はなるべく冷所で管理してください。
    ● 卵胞が十分に育ったら卵子を成熟させる

    卵胞が約2cm弱の大きさまで十分に育ったことを確認できたら、最終段階の卵子の成熟を促すホルモン剤・HCGを注射します。その後、約34時間以内に膣内から卵胞に針を刺し、成熟した卵子を採取します。この作業を「採卵」と呼んでいます。

    ● 採卵作業の実際

    卵子は卵胞液の中にあります。実際には膣の壁から針を刺し、テレビモニターを見ながら卵胞の中の直径0.1mmほどの卵子を卵胞液と卵丘細胞ごと吸引します。採卵は痛みを伴う作業のため静脈麻酔が必要となりますが、お腹を切るほどの手術ではありません。結果として、平均10個程度の卵子が採取できれば理想的です。

    さて、この作業と同時進行する形で、採取した卵子は手術室隣にあるクリーンルームでプラスティック製のシャーレに移されます。そこでは顕微鏡を使い、卵子1つひとつの成熟度を判定します。採取された卵子はすべてが成熟しているわけではなく、成熟度合いの良いものと悪いものがあります。この段階では卵子の細胞質の状態までは判断できませんが、卵子を取り囲んでいるゼリー状の卵丘細胞の広がり具合で成熟度が判定できます。

    [膣内を清潔に保つための工夫]
    採卵の作業をはじめ各種の検査では、膣内に内視鏡や器具類を挿入するケースがあります。一般的に膣内洗浄や器具類の洗浄には生理食塩水が用いられていますが、当クリニックでは、より高純度の「ミリQ水」を、体外受精時の消毒や使用器具類の洗浄などに使っています。
    採卵作業の流れ
    • 1. 超音波プローブによって発育した卵胞がテレビモニターに映し出される
    • 2. 卵胞液ごと採取された卵子はクリーンルーム内でシャーレに移され、顕微鏡での確認作業に入る
    採卵の検査と治療
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    ● 知っておきたい採卵の危険
    現在、採卵の作業は、どの病院でもほぼ100%近くが膣の壁から針を刺すという方法をとっています。このとき、卵子を吸引する針が骨盤底付近の血管を刺してしまい、それによって出血することがまれにあります。腹腔内で出血して自然に止まらない場合は、止血の処置が必要になる場合もあります。
  • 採取した卵を受精させる

    採取した卵子はシャーレに入れた培養液の中で精子と一緒にし、人間の体温と同じ温度を保つ培養器の中に入れて自然に受精させます。このとき当クリニックでは、培養液中に患者さんの血清を入れています。また、精子は洗浄スイムアップ精子を使います。

    培養器の中で精子と卵子が受精すると、約16時間後に前核期胚が表れ、その後分裂を繰り返しながら約48時間経つと理想的には4~6分割、約72時間後には6分割以上になります。この状態まで育ってはじめて理想的な胚移植が可能になります

    ● 良好な胚の条件とは

    卵子や精子の状態によって胚の分割度合いにも良否が出てきます。良好胚は受精後約24時間で2つに分割し、引き続き起こる細胞分裂によって4分割、8分割と分割が進行していきます。しかし、どんな胚でも順調に分割を繰り返すわけではなく、たとえば、女性が高齢の場合、胚の形が不良である場合もあります。一方で、順調に分割して良好胚となった場合でも、胚移植後に着床しなければ妊娠には至りません。
    この分割した胚の状態は「フラグメンテーション(核分裂を伴わない細胞質の分裂・破砕)の割合」で評価します。フラグメンテーションの割合が少ないことが良好胚の条件となり、そのフラグメンテーションが全体の3割を超えると妊娠は難しいとされています。

    ちなみに、当クリニックでは、患者さん1人ひとりの分割胚の様子を写真で示したデータシートを作成し、治療内容を把握してもらうためにそのデータシートを提供しています。

    [卵子の年齢は女性の年齢と同じ]
    男性の精子は、高齢である場合を除外して年齢に関わらず日々生産されています。しかし、女性の卵子は日々つくられるものではなく、その女性が生まれたときにすべての卵子が備わっています。つまり、女性の年齢と卵子の年齢は同じであって、生まれたときにつくられた卵子が、初潮を迎えた後に排卵されることになります。
    ● 子宮内に移植する胚は原則1個
    日本産科婦人科学会の多胎妊娠防止に関する見解により、胚移植(ET)で移植できる数は原則として単一(1個)とされています。ただし35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成功となった場合は2胚移植まで許容されます。
    ● 胚盤胞移植
    分割後の培養期間が120時間以上を経過すると、良好な胚は胚盤胞になります。48~72時間培養した胚を移植する胚移植(ET)に対し、この胚盤胞を移植する方法が胚盤胞移植です。この段階まで成長すると細胞は内側と外側とに分かれ、将来胎児となる細胞の塊が確認できるまでになります。
    自然な妊娠の場合は、受精後に細胞分裂を繰り返しながら卵管内を子宮へ移動していき、胚盤胞の段階で子宮腔内に辿り着きます。この自然の流れに沿った方法が胚盤胞移植であり、最近注目されている胚移植法といえます。
  • 配偶子卵管内移植(GIFT)

    体外受精-胚移植は、採卵後に体外で精子と卵子を受精させ、その胚を子宮腔内に移植するという方法を取っています。一方、「配偶子卵管内移植(GIFT)」は、採卵後直ちに良好な成熟卵を選別し、左右の卵管にそれぞれ2個ずつの卵子を精子と一緒に移植する方法です。実際には、恥骨の数cm上のところを開腹し、精子と卵子を卵管膨大部に入れるというもので、GIFTの手術は5泊6日の入院が必要になります。

    このGIFTは、卵管内に精子と卵子を注入するという自然な形に近い方法であり、体外受精-胚移植に比べて同一条件下では2倍近い妊娠率をキープする不妊治療法でもあります。その理由は、生理的な受精の場所である卵管膨大部で精子と卵子が出合い、その後の胚の発育も卵管内で行われるため、良好な胚がつくられるからと考えられています。

    そして、自然の妊娠と同じ胚盤胞の状態で子宮腔内へ移送されるために、タイミングのよい着床が可能だからと推測できます。

    また、GIFTを発展させたもので、2前核期胚を卵管内に移植する「接合子卵管内移植(ZIFT)」という高度生殖医療もあります。

    配偶子卵管内移植(GIFT)

    GIFTは恥骨の数cm上の部分を開腹する手術が必要になる。そのため術後の回復も含めて5泊6日の入院が必要。

  • 「体外受精-胚移植」と「GIFT」の比較

    GIFTの場合、採卵までは体外受精-胚移植と同じですが、腹部を切開するために体に負担が掛かり、その後も数日間の入院が必要です。それに比べて体外受精-胚移植は、開腹手術をすることなく外来診療で行えます。ただし、同一条件においての妊娠率はGIFTの方が2倍近い妊娠率をキープし、分娩率も約2倍という高成績を保っています。

    どちらの治療法を選択するかについては、患者さんの体のコンディションや生活環境などを考慮したうえで、医師と相談しながら最善の方法を選びます。

  • 顕微授精・卵細胞質内精子注入法(ICSI)

    男性に不妊原因があり、体外受精-胚移植やGIFTでも妊娠が難しいという例に対しては、顕微鏡を使って人工的に授精させる「顕微授精」が必要になります。これはマニピュレーターの操作によって1個の精子を直接卵子に注入する画期的な技術です。とくに当クリニックをはじめとして高度な技術を持つ施設では、70~80%という高い受精率を保ち、顕微授精-胚移植は、通常の体外受精-胚移植に劣らない妊娠率を得ています。

    また、このICSIを使うと、精巣内精子や精巣上体から吸引した極微量の精液から探し出し、顕微授精に用いることもできます。そのため、無精子症に対しての治療も可能になりました。

    顕微授精 / 卵細胞質内精子注入法
    • 1. 顕微授精はレンズを覗きながらマニピュレーターを操作し、シャーレの中で1匹の精子を卵子に注入するという微細な作業。
    • 2. ICSIは乏精子症や無精子症など、重度の男性不妊に対しても治療が可能になった画期的な技術
  • 知っておきたい排卵誘発剤の副作用

    採卵するための排卵誘発法としてHMG-HCG療法(ブセレリン併用)を用いますが、時として排卵誘発剤の影響によって多数の卵胞が一気に発育していまい、卵巣が握りこぶし以上の大きさに肥大する場合があります。これを「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」といい、腹水や胸水などが溜まる他、症状が重くなると血液が泥状になり、血栓症(血管内で血液が固まりやすい状態)に陥ることがあります。これに対して適切に対応しなければ、脳梗塞や腎不全などの合併症を起こしてしまう場合もあります。

    採卵の際、通常は10個ほどの卵子が採れますが、20個以上採卵できた患者さんに対してはOHSSの危険性があると判断し、採卵直後からOHSSの予防治療を開始します。また30個以上採卵できた患者さんについても同様ですが、この場合はかなりの危険性があるため当面の妊娠はあきらめ、とりあえず全胚凍結します。OHSSの危険性が落ち着いた後、改めて凍結胚を解凍して移植することで妊娠を図るという方法をとっています。

    卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
  • 知っておきたい多胎の可能性

    体外受精-胚移植やGIFTでは、条件によって複数個の胚または卵子を体内に戻すことになるため、場合によっては多胎が考えられます。多胎妊娠は流産や早産の危険性が高く、未熟児出産の原因にもなるので、母児にとっては単胎が望ましいといえるでしょう。しかし、双胎までなら現在の医療技術によって何とかコントロール可能と考えられています。

    この多胎をできるだけ避けるために体外受精-胚移植では、体内に戻す胚の数を極力少なくし、余剰胚を凍結保存します。また、GIFTでは余剰卵を使って体外受精を行い、胚を凍結保存します。もし妊娠できなかった場合は凍結した余剰胚を移植します。

  • 良好胚を凍結保存する技術

    1回の採卵で平均10個ほどの卵子が採取できますが、体外受精をした場合はその中の約80%の卵子が受精します。受精した卵子の中で移植に利用できる良好胚はさらに約60%に絞られます。移植に必要な胚を2個とすると、3〜4個程度が余剰胚として残ります。

    現在の医療技術ではこの余剰胚を凍結保存し、妊娠が成立しなかった場合、次の機会に備えることができるようになりました。凍結保存は医学的にも安全性が確立された技術で、生まれてくる赤ちゃんの先天異常の発現は自然妊娠と何ら変わりありません。

    [凍結保存のメリット]
    • ・卵巣刺激および採卵の負担を軽減
    • ・良好胚を無駄にしない
    • ・移植胚数を極力抑え、多胎妊娠の頻度を下げる
    • ・半永久的な保存が可能

    さて、凍結保存は採卵した卵子そのままの状態ではなく、体外受精させて胚とした後に凍結するのが一般的です。液体窒素タンク内に保管します。

  • 染色体異常がもたらす弊害

    妊娠が確認できてもその後の過程に異常があり、流産を繰り返してしまうケースがあります。2回続けて流産した場合を「反復流産」、3回以上の場合を「習慣性流産」と呼んでいます。流産の原因はさまざまで、女性の身体的な異常や、胎児に何らかの異常があることもあります。流産の時期としては、着床してから2~4週の早期のケースが多く報告されていて、この原因として考えられるのが胚の「染色体異常」です。現在、流産の約60~65%は染色体の異常が原因といわれており、染色体の異常は出生した赤ちゃんにも先天性異常を及ぼす危険性があります。

    当クリニックでは、不妊治療専門機関の他、「生命医学研究所」を併設し、染色体異常による流産や不妊原因の分析・研究を行っています。そこでは、習慣性流産や乏精子症・無精子症などの症例に対しての染色体検査を実施する他、遺伝に関するさまざまな相談も受け付けています。

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