中央クリニック

WEB予約Web Reserve

お手元に診察券をご準備の上ご予約ください。

男性不妊外来
お問い合わせContact

妊娠・不妊治療のご相談
お問い合わせはお気軽に!

  • お問い合わせはこちら

中央クリニックは特定不妊治療費助成事業指定医療機関です。
お住まいの地域によって助成内容などが異なりますので、詳しくはお住まいの県・市町村のホームページ等をご覧下さい。
なお、当クリニックは栃木県や茨城県以外の地域にお住まいの方でも助成を受けていただくことができます。
詳しくは、窓口またはお電話にてお問合せください。

用語集

用語集

不妊治療に関する用語集

こちらでは、不妊治療に関する用語をまとめてみました。
ご不明な用語などをお調べください。

アシスティッドハッチング( AHA ):透明帯開口法YouTube 動画有り

胚移植の前に胚の透明帯( 周りを覆っている殻の部分 )を化学薬品、機械的方法あるいはレーザーなどを用いて、菲薄化させたり穿孔( 穴を開ける )を行い、透明帯から胚の脱出を助けて着床率を上げる方法のことです。透明帯が硬い、あるいは厚い場合や、良い受精卵を何回胚移植しても着床しない場合などに行います。

顕微授精の検査と治療

一般不妊治療

夫婦生活のタイミング、卵巣刺激方法、人工授精、その他薬物療法で行う治療のことで、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療に入る前の不妊治療のことを言います。

エッグドネイション( 卵子提供 )

手術によって卵巣を喪失した人や早期に閉経に至る早発閉経の不妊患者さんが他人から卵子を提供してもらい、夫の精子で体外受精し、受精卵を妻の子宮に移植する方法です。

黄体期

排卵から次の月経までの期間で、黄体ホルモンが分泌され基礎体温は高温期を示します。

黄体化ホルモン( LH )

卵胞の成熟・排卵・黄体形成を促すホルモンのことです。脳下垂体から分泌され、卵胞刺激ホルモン( FSH )と協力して働きます。

黄体ホルモン( プロゲステロン:P )

排卵後に卵胞は黄体と呼ばれるものに変化します。この黄体から分泌されるホルモンのことで、子宮内膜を変化させ、受精卵を着床しやすい環境にするとともに、妊娠が成立した場合は妊娠維持をつかさどるホルモンです。
このホルモンが分泌されると基礎体温は上昇します。

カウフマン療法

正常月経周期の性ホルモン状態に似た環境をつくり、周期的に出血を起こさせる治療のことで、卵胞ホルモン( エストロゲン )投与に続いて卵胞ホルモンと黄体ホルモンの双方を投与します。子宮内膜を整え、卵巣機能や卵胞の発育を良くする場合もあります。

ガラス化法( Vitrification )

胚、卵子凍結法の種類で、超急速凍結法のことです。従来から広く用いられている緩慢凍結法に対し短時間で行うことができ、また細胞内氷晶( これにより細胞はダメージを受ける )による障害が少ないとされています。高い生存率と再現性を有する可能性を持つ凍結保存法です。

漢方療法

冷え性、浮腫など身体的に何か症状があり、それを改善するための漢方療法は問題ないと思われます。しかし何も症状がないのに妊娠率の向上のための目的に内服する漢方は勧めていません。というよりそのような漢方療法の成果はまだ確認されていません。当院では、民間療法的要素が強いので、実施に関しては患者さんの自主性に任せております。( マカと同じレベルと考えている。 )

基礎体温( BBT )

基礎体温は、人間が生きていく上で必要とするエネルギーを消費している時( 基礎レベルエネルギー消費時 )に発生する体温のことです。朝、起床する前に床の中で婦人体温計を舌の下に入れて測定します。これを毎日チェックし、表にしたものが基礎体温表です。これにより、排卵日の予測や黄体機能不全の有無を知ることができます。

クラミジア感染症

性行為感染症( STD )の一つです。

特に女性が羅患すると、卵管閉塞や卵管周囲癒着などを引き起こし、不妊症の原因の1つになる可能性があります。

不顕性感染( 症状に乏しい )であることが多く、自分の知らない間に感染していることがあり、日本だけでなく世界的にも問題になっている感染症の1つです。

クロミフェン

排卵誘発剤の1つです。飲み薬であり、卵巣から出ている卵胞ホルモン( エストロゲン )の働きを抑えることで、脳下垂体から出ている卵胞刺激ホルモン( FSH )の量を増やして、卵胞発育を促進する作用があります。

生理の3〜5日目から約5日間だけ内服します。

頚管縫縮術(マクドナルド法、シロッカー法)

妊娠中、痛みを伴わないまま自然と子宮頸管が開いてしまうことを子宮頸管無力症といい、妊娠の継続が困難になって早産や流産を引き起こすことがある。
そのため、妊娠を継続させるために子宮頚部を縫って子宮口がさらに開くことを防ぐ、頚管縫縮術が選択されることがある。
一般的に、手術式はシロッカー(Shirodkar)手術もしくはマクドナルド(McDonald)手術が行われる。

●シロッカー手術とマクドナルド手術
子宮頚部を切開した後に内子宮口で縫合するシロッカー手術に比べ、マクドナルド手術は切開せず、より下の方を縫い合わせる。切開を伴わない分、後者の方が手術にかかる時間や手間を省くことができることに加え、手術による陣痛の誘発も少ない。
抜糸する時期は、妊娠10か月が目安だが、経腟分娩ではなく帝王切開の場合はこの限りではない。
一般的には、術式として比較的簡易なマクドナルド手術の方が広く行われているが、シロッカー手術の方がより内子宮口に近い部分になるため、効果的だともされている。
子宮頚管の外的要因を短縮してしまった場合、経腹的、経膣的縫縮術も可能である。

頸管粘液検査

頚管粘液( 子宮頚部から分泌されている液 )は、排卵日近くになると活発に分泌され、精子をスムーズに子宮内に導く働きをしています。この検査は、その量や性状を調べるための検査です。

血中ホルモン値

月経をつかさどるホルモンは1つではなく、複数のホルモンが関与しています。ホルモン値は血液で調べることができます。

  • FSH…卵胞刺激ホルモン。脳下垂体から分泌され、卵胞の成長を促します。女性では排卵障害、男性では精巣機能障害を調べます。正常値( 生理2日目〜5日目 )8~12mlU/ml以下です。
  • LH…黄体形成ホルモン。正常値10mlU/ml以下
  • P4…プロゲステロン。黄体ホルモン。正常値( 黄体期 )10ng/ml以上
  • E2…エストラジオール。エストロゲンの一種で、卵胞の成熟によってでてくるホルモン。このホルモンの測定によって、卵胞の発育、内膜の厚さ、頚管粘液量などが予測できます。
  • PRL…乳腺刺激ホルモン( プロラクチン )乳汁を分泌させるホルモンで、本来は分娩後授乳している時に分泌されます。妊娠を望む女性にプロラクチンの異常分泌が起こると、月経不順や排卵障害の原因となります。正常値13~15ng/ml以下
  • T3・T4・TSH…甲状腺ホルモン。甲状腺機能の異常によって、排卵障害や黄体形成不全を起こします。
経皮的精巣上体精子吸引法( PESA )

経皮的に精巣上体を穿刺し精子を吸引採取する方法です。

顕微授精( 卵細胞質内精子 注入法:ICSI )YouTube 動画有り

顕微鏡下で髪の毛よりも細いガラス管を使って、1個の卵子の中に1個の精子を直接注入する方法です。体外受精で受精しない場合や、男性不妊で体外受精では受精が難しい場合に行う方法です。極少数の精子にて受精・妊娠させることが可能です。

顕微授精の検査と治療

原発性不妊症

いままでに1度も妊娠した経験のない不妊症のことです。

高次多胎

3胎以上の児を有する妊娠を高次多胎妊娠、3人以上の出生児をみるものを高次多胎分娩と呼びます。

コースティング( Coasting )法

卵胞誘発の過程で、多数の卵胞ができて血中ホルモン( E2 )値が上昇した場合、卵巣過剰刺激症候群( OHSS )になる危険を回避するため、一時的にHMG製剤の注射を中止し、卵胞が一部閉鎖して血中ホルモン( E2 )値が2000ぐらいに下がってから採卵や人工授精などを行います。

抗精子抗体

精子に附着し、精子を動かなくしてしまう抗体のことです。抗精子抗体が強陽性の場合は、体外受精の適応となります。検査は現在のところ保険適応外になっています。

抗ミュラー管ホルモン(AMH:Anti-Mullerian Hormone)

AMHは一次卵胞の顆粒膜細胞と2次卵胞の卵胞に発現しているホルモンです。この数値を測定することで、卵巣予備能力(卵巣にあと卵子がどのくらい残っているか)を知る指標になります。AMHが低値なら卵巣に卵子が残り少ないと判断します。AMHが高値なら多嚢胞性卵巣症候群を疑います。

高プロラクチン血症

血液中のプロラクチン( 乳汁分泌ホルモン )の濃度が高い状態のことです。排卵が遅れたり、黄体機能不全が起きたり、卵の質を悪くし、着床を妨げたりすることがあります。治療のため、カバサールやテルロンやパーロデルなどの薬を服用します。

ゴナドトロピン

主に、下垂体から分泌される性腺を刺激するホルモンをいい、FSH( 卵胞刺激ホルモン )、LH( 黄体形成ホルモン )の2つがあります。卵胞刺激に用いられるHMGは、この2つのホルモンを含んだ製剤です。

高齢初産、高齢出産

採 卵YouTube 動画有り

体外受精や顕微授精などの時に、卵子を採取することです。経膣超音波下で十分に発育した卵胞に針を刺し、卵胞の中にある卵胞液と卵子を吸引して行います。

採卵の検査と治療

子宮鏡

ヒステロスコピーともいい、子宮頸部から内視鏡を入れて子宮腔内を肉眼的に観察する検査です。子宮内膜の状態を直接観察することが可能です。この検査により、子宮内膜ポリープや子宮筋腫が見つかることがあります。

子宮筋腫

子宮は筋肉から成り立っています。そこから発生した良性腫瘍を子宮筋腫といいます。発生場所が子宮内膜に近い場合には着床障害や流産の原因になることがあります。

このため、子宮筋腫の発生場所、大きさ、数などから、場合によっては不妊治療を行う前に子宮筋腫核出術が必要な患者さんもいます。

子宮筋腫核出術

子宮筋腫核出術を施すことで、子宮筋腫のみを切除し子宮を温存することができるため、将来における妊娠の可能性を残すことができる。これまでは開腹手術が一般的だったが、近年は腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM,laparoscopic myomectomy)や腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(LAM,laparoscopically assisted myomectomy)、子宮鏡下子宮筋腫核出術が施されることが多い。

●腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)と腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(LAM)
腹腔鏡下子宮筋腫核出術は全ての操作を腹腔鏡下にて行うが、腹腔鏡下補助子宮筋腫核出術は、小切開を行った上で手術を施す手法である。小切開を行うことで、LMでは対応できないような大きさの筋腫や、点在した筋腫も取り除くことが可能となる。
子宮鏡を膣から挿入して行われる子宮鏡下子宮筋腫核出術は、粘膜下筋腫が適応となる。
いずれも傷口が小さく、美容的に優れているが、大きさによっては手術が難しいこともある。また、手術時間も開腹手術と比べて長くなる傾向がある。さらに、術後の癒着も少ない。

●子宮筋腫核出術後の出産
術後に妊娠した場合、出産時に子宮破裂のリスクが高まるため、経腟分娩を選択する際には帝王切開に切り替えることができる用意が必要である。

●再発
筋腫を取り除いたとしても、子宮自体が残っていれば再発の可能性がある。

子宮外妊娠

子宮腔以外のところに受精卵が着床してしまうことで、成長する胎児を支えるだけのスペースや栄養補給などの条件が整っていないため、妊娠継続は不可能です。
その大部分は卵管に妊娠していることが多く、全体の80%以上を占めます。これ以外にも卵巣や腹膜などにも起こりますが、頻度は少ないです。
薬物による治療と手術による治療法があります。母体に危険がおよぶ場合は、手術療法が第1選択となります。

子宮形成術

子宮形態異常が見られる場合、子宮形成術を行うことで正常な形に近づけ、妊娠の可能性を高めることができる。

●子宮形態異常

米国不妊学会(AFS)によると、子宮形態異常は7種類に分類することができる。
胎児期の初期に作られるミュラー管は左右に2つあり、これが女性器のもととなるが、これが融合される際に問題が生じて子宮形態異常が発生する。
そのうち、子宮の形に問題はないが子宮腔に壁が生じている中隔子宮、子宮底部にくぼみが見られる弓状子宮、子宮の形がハートとなっているため、くびれや子宮腔が2つ生じている双角子宮などが子宮形成術の対象となる。

●子宮形成術の種類
・Strassmann手術

双角子宮のほか、弓状子宮の一部が適応となる。子宮底部を横に切開して子宮内腔まで達した後、縫い合わせる。

・Tompkins手術

中隔子宮が適応となる。子宮底部に縦切開を加えて中隔を切除し、縦に縫い合わせる。

・Jones&Jones手術

中隔子宮が適応となる。子宮底部を縦に切開し、中隔を切除後に縫い合わせる。

子宮形成術を行なった後の妊娠率についての有効性はまだ確立されておらず、不育症を繰り返す症例に対して他の不妊要因を取り除いた後、慎重に検討する必要がある。

子宮中隔切除術

子宮形態異常のうち、子宮中隔に対して正常な形に近づけることを目的に行われる手術。

●子宮形態異常

米国不妊学会(AFS)によると、子宮奇形は7種類に分類される。そのうち、中核子宮とは、子宮の形自体に問題はないものの、内腔に壁があるものを指す。子宮形態異常の中でも発生頻度が高く、子宮内腔が分かれているので不育症の原因ともなり得る。
不妊症や不育症の場合、他に要因がなければ手術を施すことで妊娠率の向上が期待できる。
治療としては、子宮鏡下にて中隔切除術が行われる。

●hysteroscopic metroplasty

子宮中隔が適応となる。子宮鏡を用いて、子宮中隔を切除する術式。
子宮頸管から子宮鏡を挿入して、子宮内腔を確認しながら手術を進めていく。
侵襲性が低く、腹部に傷がないため広く用いられるようになってきている。

子宮内膜吸引

月経周期2〜4日目のどこかで子宮内膜に10〜12Frのネラトンカテーテルを挿入し、子宮内膜を吸引するという方法です。この事により、その後の子宮内膜の発育が良好になります。もともとは凍結胚移植の際、様々な子宮内膜調整法を用いても、子宮内膜が良好にならない症例に対して子宮内膜吸引後子宮内膜調整を行ったのち、胚移植を実施し妊娠・分娩に至った症例を経験してから導入した当院オリジナルの方法です。現在反復ART失敗例に対して実施しており、子宮内膜洗浄との併用で妊娠分娩に至っている症例が増加しています。

子宮内膜洗浄

胚盤胞移植の際、培養72時間目でG1 mediumからG2 mediumに胚を移しかえます。その際、G1 medium の培養液を子宮内腔へ注入する当院独自の方法で2003年から臨床導入しております。方法は膣内を洗浄後、AIH針を用いて子宮内腔へ72時間胚培養していたG1 medium の培養液2〜3mLを注入します。

似たような論文がFertil. Steril 2007 Nov; 88(5): 1339-1343 にSEET(Stimulation of endometrium embryo transfer)として掲載されています。SEETでは胚盤胞と培養液の上清を凍結保存し凍結胚移植3日前に培養液の上清を20㎕子宮底から1cm離れたところに注入します。当院の子宮内膜洗浄は、新鮮胚移植周期で実施するものであり、ルーチンで行っている方法でなく反復ART失敗例に実行しております。

子宮内膜症

子宮内膜が正規の子宮内腔だけにとどまらず、骨盤の腹膜や卵巣や子宮筋層内に入り込んでいる病気のことです。強い月経痛や性交痛を訴える場合に疑われます。不妊の原因となる場合があります。

子宮卵管造影検査

造影剤を子宮頚管の入り口から注入して卵管の通過性、子宮内腔や卵管の形、卵管采周囲癒着の程度を知ることができるレントゲン撮影検査です。
不妊検査の必須検査の中の1つです。

シクロフェニル( 薬剤名:セキソビット )

経口の排卵誘発剤です。副作用は少ないですが、排卵誘発効果も弱いです。

受 精

精子が卵子内に進入し、母親の遺伝子と父親の遺伝子が融合することです。

受精障害

精子の数が少ない、運動率が悪い、先体反応が起こらない場合などが原因となり、受精がうまくいかないことです。顕微授精の適応となります。

受精卵

受精が完了した卵子のことです。

ショート法( Short protocol )

卵胞刺激方法の1つです。卵巣機能が低下した人や、高齢者に対して多くの卵を得るために行われます。月経開始日から Gn-RH analogue製剤( 点鼻薬である、スプレキニア、ナサニール、ブセレキュアなどを使用します。 )を開始し、月経3〜4日目からHMG製剤の投与を開始し、卵胞を発育させます。

人工授精

排卵の時期に合わせて精子を直接子宮腔内に注入する方法のことです。フーナーテスト不良や、精子の数が少ない人、運動率が悪い人、原因不明の人などが適応になります。人工授精の中には、夫の精子を使用する「 配偶者間人工授精( AIH ) 」と精子提供者( 夫以外 )の精子を使用する「 非配偶者間人工授精( AID ) 」があります。

精液検査

男性に対して行われる検査で、精液量、精子数、運動率、奇形率などを調べる検査です。現在、不妊の原因は男女共に1:1といわれているため、男性の検査も重要となっています。3~5日間の禁欲期間が望ましいと考えられています。

正期産

妊娠37週終了から42週終了までに認められる生児出産あるいは死産のことです。

精索静脈瘤

精子を運ぶ管である精管の周りの静脈が拡張し、瘤( こぶ )のような状態になる病気で、精巣からの血液の還流が傷害されると同時に、静脈を逆流した有害物質が精巣に運ばれ、精子をつくる能力が悪化します。左側の精巣に比較的多く起こります。

精子減少症

精子が少ない症状です。精子の正常値は、WHOの診断基準では ;精液2.0ml以上、数2000万/ml以上、運動率50%以上、奇形率70%以下、白血球100万/ml以下となっています。

精子無力症

精子運動率が半分以下をいいます。または直進する精子が25%未満です。

生殖手術

生殖機能の診断、維持、是正あるいは改善を目的に行われる手術操作です。

生殖補助技術( ART )

妊娠を促す目的で卵子と精子の双方あるいは、胚を in vitro ( 体外 )で操作する処置あるいは治療法のことをいいます。

この中には、lVF-ETに制限せず、ICSI、GIFT、ZIFT、配偶子と胚の凍結保存、卵あるいは胚の提供、さらには代理母出産なども含まれます。

精 巣

陰嚢内にある左右1対の卵円形をした器官のことです。精巣では精子がつくられています。

精巣内精子回収法( TESE )

無精子症の場合に行われる外科的な手術で、精巣組織を一部回収し、その中から精子を採取する方法です。これで得られる精子は少ないため、主に顕微授精を用いて妊娠をはかります。

接合子

卵と精子が受精し得られた細胞で、その後分割し胚に到ります。

接合子卵管内移植法( ZIFT )

受精卵( 前核期胚 :接合子)を卵管内に移植する方法のことをいいます。

先体反応

受精する際、精子が卵子の周りにある透明帯を通過する時に精子頭部の先体と呼ばれる部分の外側の膜が破れ、酵素( アクロシンなど )を放出する現象のことです。この先体反応を起こす精子でないと、体外受精までの方法では受精しないので、先体反応を起こさない精子では、顕微授精を行う必要があります。

早発卵巣機能不全( POF )

40歳以前に卵胞が消失し、閉経してしまうことです。血中LH、FSHが高値となります。
最近では抗ミュラー管ホルモン( AMH )を測定することで正確に判定することが可能となりました。

造精機能不全

精子の数が少ない、動きが悪いなど、精子を造る機能に障害がある状態のことです。

続発性不妊

妊娠の既往はあるものの、その後妊娠に至らないことです。

体外受精( IVF )

女性から卵子を採取( 採卵 )し、精子と合わせて受精させることです。両側卵管閉塞、重度の子宮内膜症、男性不妊、免疫性不妊( 抗精子抗体陽性 )、また原因不明だが一般不妊治療で妊娠しない、などが適応になります。

体外受精-胚移植( lVF-ET )

卵子と精子を体外に取り出して受精させ、受精卵( 胚 )を子宮腔に移植する一連の操作を言います。採卵数を増やす目的で、通常は排卵誘発が行われます。
移植胚数は、日本産婦人科学会の規定により、多胎防止のため35歳未満の初回と2回目の胚移植は1個、それ以外は最大2個までの移植とされています。

体外培養-体外受精( IVM-lVF )

スプレキュアやHMG製剤を使用せず、自然周期の7日~10日目で直径7~10mmの卵胞を吸引し、未熟な卵を体外で受精可能なまでに培養していく方法です。かつて重篤なOHSSを起こした人や、PCO( 多嚢胞性卵巣 )などの症例のOHSS予防として行う方法です。
未熟な卵を体外成熟させた場合、異常な卵が多いとの報告があり、この方法で治療を行っている施設は少ないと思われます。

胎児

受精後8週を経て胎芽の時期を経過した産出物で、流産あるいは出産までの期間のものです。

胎児死亡/死産

妊娠20週終了以降で母体から児が排出する前に死に至ったものです。死産とは出産後に児が呼吸をしていないか、あるいは臍帯拍動が認められない、また随意筋の確かな動きが認められない状況です。

胎嚢

妊娠早期に子宮内に認められる液体を含む構造物で子宮内に存在していますが、子宮外妊娠のような場合には子宮外に存在します。

胎嚢喪失あるいは胎児喪失

超音波診断で継続妊娠と診断された例における1個あるいは複数の胎嚢あるいは胎児の自然喪失をみたものと定義されます。

タイミング指導( 療法 )

基礎体温、超音波による卵胞径の計測、頸管粘液検査、尿中LH値などにより、排卵を予測して、性交のタイミングを指導する方法のことです。

代理出産

何らかの原因で卵巣や子宮がなく、自分で妊娠することが不可能な場合に他の女性に出産してもらうことです。代理出産には2種類あり、

  • ・ホストマザー:夫婦の受精卵を他の女性の子宮に移植し、出産すること。
  • ・サロゲートマザー:夫の精子を他の女性に人工授精して出産すること。

があります。

多胎妊娠/多胎出産

2児以上の胎児を有する出産あるいは2児以上の新生児の出産を多胎妊娠あるいは多胎出産と呼びます。

多嚢胞性卵巣( PCO )

直径数ミリ~10数ミリまでの多数の卵胞が存在するにもかかわらず、それ以上の卵胞の成熟が起こらず、排卵に至らない障害( 排卵障害 )です。また、卵巣は鶏卵大に腫大し、表面を被う白膜が厚くなってしまいます。特徴として、FSHに比べLHが高値です。また、男性ホルモン( テストステロン )の分泌が高まる症例もありますが、日本人ではこの症状を持つ人は少ないです。多のう胞性卵巣症候群は、様々なタイプの臨床症状を呈します。
超音波断層法では、小さな卵胞がネックレスのように多数確認することができます。クロミフェルなどの飲み薬で簡単に排卵が起こり、妊娠するものから、飲み薬の排卵誘発剤では全く反応せず、HMG製剤の排卵誘発剤を用いると30個以上卵が発育してしまうのもあります。このため、不妊専門施設での精密検査および治療を行う事をお勧めします。

男性不妊

男性側に不妊症の原因がある場合のことです。

膣式子宮全摘術、前後膣壁形成術

膣式子宮全摘術と前後膣壁形成術は、従来から、骨盤臓器脱の治療法として行われてきた術式。
本来は骨盤内に収まっている子宮や膀胱が次第に下がり、膣から出てしまうことを骨盤臓器脱または性器脱という。薬剤による効果が望めないので、手術が治療の基本となる。加齢やお産によって引き起こされるこの疾患は症状に乏しいこともあるが、放っておいて重症化することで体内にあるべき臓器が大きく外へ出てしまい、戻らないこともある。膀胱が脱出してしまう場合が最も多い。
膣式子宮全摘術によって子宮を取り出し、前後膣壁形成術によって、緩んでしまった膣の壁を切除、縫合する。筋膜が残るので3割を超える再発の可能性が報告されており、術後は膣が浅く狭くなるため性交に支障をきたすことがある。

●メッシュ手術(TVM)と膣中央閉鎖術

弛緩した膣壁に代わって、専用のメッシュをおいて増強する術式。子宮が温存でき、膣壁も切開しないことから術後の回復が早いというメリットがある。再発の可能性が低く、合併症や日常生活への影響が少ないことから、広く行われるようになった。
そのほか、膣を広く縫い合わせる膣中央閉鎖術が行われることもある。少しの隙間を残して塞いでしまうこの方法では、再発して臓器が出てくることが非常に少ない反面、性交渉や子宮ガン検診が困難となる。
ただし、合併症や身体への負担が少ないことから、高齢者によく施されている。

膣式子宮全摘術

膣側から子宮を取りだす方法。子宮全摘術には、開腹や膣式、腹腔鏡によるものがある。開腹によるものと比較して、膣式子宮全摘術の場合は手術創が腹部に残らず、術後の回復も早い。
ただし、視野が狭いことや大きさによっては摘出が困難になることもある。

●膣式の選択について

摘出する子宮の大きさに制限や、腹腔ない癒着がないことが条件となる。一方で、腹腔鏡では膣式で困難な子宮の大きさであっても摘出可能である。

●腹腔鏡を用いた術式

腹腔鏡にて状態を観察しながら膣式手術を同時に行うことで、癒着状態を確認しながら、より安全性が高く精度の高い方法を選択することができる。
どこまで腹腔鏡を用いるかによって、腹腔鏡補助下膣式子宮全摘術(LAVH,laparoscopically assisted vaginal hysterectomy)と腹腔鏡下子宮全摘術(LH,laparoscopic hysterectomy)、全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH,total laparoscopic hysterectomy)に分類される。
LAVHが腹腔鏡下で行うのは、癒着剥離のほかに左右の円靭帯や卵巣固有靭帯付属器の切断などにとどまるが、LHでは加えて子宮動脈の切断まで行う。TLHは、全てを腹腔鏡下で行う術式である。

●合併症

視野が狭いため、尿管や膀胱、腸管の損傷を招く恐れがある。そのうち、尿管への損傷は最も注意が必要となる。

着 床

受精後5〜7日に認められる透明帯から脱出した胚盤胞が子宮内膜に接着し、さらに侵入することを着床と呼びます。

着床前診断

特異的な遺伝子異常、構造異常あるいは染色体異常を検知する目的で、卵、接合子あるいは胚の極体、割球あるいは栄養外胚葉を採取し、診断する方法です。

着床前スクリーニング

染色体異常、突然変異あるいはDNAの異常などの有無を検知するために、卵、接合子あるいは胚から極体、割球あるいは栄養外胚葉を採取し分析する方法です。着床前診断と同じ医療行為ですが、高齢女性や流産を起こした患者全てに行う事をスクリーニングと言います。

着床率

認められた胎嚢の数を移植した胚の数で割った値を着床率といいます。

超音波検査( エコー )

周波数の高い音波を臓器に発信して、その反射波をコンピューターで映像化する医療機器を使って調べる検査のことです。不妊治療においては、一般に膣の方から超音波検査( 経膣超音波検査 )を行い、卵胞の発育や内膜の状態などを検察します。

超未熟児

1,000g未満の出産児をいいます。

超未熟児出産

妊娠20週終了後から28週未満の生児出産あるいは死産のことです。

低出生体重児

2,500g未満の生下時体重の児のことをいいます。

凍結保存

体外受精や顕微授精によってできた受精卵を凍結後、液体窒素の中で保存する方法のことです。胚移植後の余剰胚の有効利用や卵巣過剰刺激症候群( OHSS )の予防、着床率、妊娠率の向上などに利用されています。その他、卵子、精子の凍結保存も可能です。

二段階胚移植

2000年に一度医学的に否定された方法ですが、( Fertil Steril 2000; 74: 936-940 )日本において有効であるとされ、再度復活した技術です。
現在この方法に関しては、実施する施設は限られています。

脳下垂体

成長ホルモンや、甲状腺刺激ホルモンをはじめ様々なホルモンがここから分泌されています。
不妊症関係においては、卵胞刺激ホルモン( FSH )と黄体化ホルモン( LH )の2種類の性腺刺激ホルモン( ゴナドトロピン )や乳汁分泌ホルモン( プロラクチン )などが重要な役割を果たしています。

受精後、接合子が分裂を開始して得られた産出物で、妊娠8週の胎生期までのものです。なお、この定義に単為発生や体細胞の核移植によって発生したものは含まれません。

胚移植( ET )YouTube 動画有り

体外受精や顕微授精によってできた受精卵( 胚 )を子宮に戻すことです。

胚移植の検査と治療

胚/胎児減数手術

多胎妊娠において生存している胚や胎児の数を減少させる処置です。

配偶子卵管内移植法( GIFT )

卵管内に精子と卵子( 配偶子 )を同時に移植する方法のことをいいます。

胚盤胞( Blastocyst )

胞胚とも呼ばれ、受精してから4~5日目の受精卵では、この状態になっているのが理想とされています。この時期になると、将来胎児になる細胞群と胎盤になる細胞群に分れています。

胚盤胞移植( Blastocyst Transfer )

体外受精や顕微授精の後に受精卵を5~6日間培養し、着床直前の段階( 胚盤胞 )まで発生したことを確認してから胚移植を行う方法です。採卵後2~3日目の形態良好胚を何度戻しても妊娠しない場合に、最終段階まで胚が発生するかを確認し、さらに子宮内膜と胚の発育段階を合わせ、着床環境を整える目的で行われています。通常は1~2個を胚移植し、多胎予防の目的でも行われています。

排卵障害

卵胞がうまく発育しなかったり、ある程度まで卵胞が発育しても卵胞破裂が起こらず卵子を含んだ( 排卵しない )まま黄体形成が起きたりすることをいいます。

排卵誘発剤

卵の発育を促す薬のことです。注射薬にはpure FSH製剤、recomenbinant FSH製剤、HMG製剤があり、経口薬にはセキソビット、クロミッドなどがあります。卵巣が腫れる、腹水がたまるなどの卵巣過剰刺激症候群( OHSS )という副作用、また、多胎妊娠の可能性が高まるため、その使用にあたっては医師とよくメリット、デメリットについて相談することが大切です。

針治療

2002年、PaulusらはIVFの患者に針治療を用いた無作為対照実験の結果を報告しました。160名の患者に胚移植を行い、針治療群には25分にわたって針治療を実施、コントロール群は同時間安静を実施しました。臨床的妊娠率は針治療群で42.5%、コントロール群の26.3%を有意に上回ったと報告しました。それ以降多くの研究結果が報告されました。2006年に針治療に関するReviewが報告されました。Fertil Sretil. 2006 May;85(5):1359-1361、Fertil Sretil. 2006 May;85(5):1362-1363、Fertil Sretil. 2006 May;85(5):1364-1367 などがそうです。結論を言えば、2006年の時点では針治療がIVFの妊娠率にどのような影響を与えるかということに関して明確な結論は得られていません。ある論文では針治療を実施した場合流産率の上昇が認められたというNegativeな作用の報告もありました。針治療を科学的に分析することは非常に難しく、漢方療法と同様、民間療法的要素が強いので、実施に関しては患者さんの自主性にまかせております。

ビトリフィケーション

溶媒の中でガラス様の固形状態を生み出し氷晶形成を阻止する超高速凍結保存法と定義されます。

非閉塞性無精子症

精子の通り路は通っていますが、精巣内の精子をつくる造精機能に何らかの問題があり、精液中に精子が認められない状態のことをいいます。原因は様々ですが、一部にはクラインフェルター症候群( XXY症候群 )など染色体異常の人に見ることができます。クラインフェルター症候群は、男性1000人に1人の割合で存在するといわれています。

不育症

妊娠はするものの胎児が育たず、流産や早産を繰り返し生児が得られない場合をいいます。

レトロゾール( 商品名:フェマーラ )

アロマターゼ阻害剤で、エストロゲンの生成を阻害し、視床下部に作用して下垂体から卵胞刺激ホルモン( FSH )の分泌を増加させて、卵巣での成熟を促します。無排卵症やPCO( 多嚢胞性卵巣 )の場合に使用することで排卵誘発ができます。またクロミッドのように抗エストロゲン作用がなく、頚管粘液や内膜に悪影響を及ぼしません。クロミフェン抵抗性の難治性無排卵症でも有効な場合があります。

フーナーテスト( 性交後検査 )

夫婦間適合性検査で、排卵日前に夫婦生活をもち、性交後数時間してから、頚管粘液中にどの程度精子が存在するか、また運動しているかを調べる検査のことです。
これは、排卵日付近で夫婦生活を持つため、検査だけでなく治療もかねています。

腹腔鏡検査( ラパロスコープ )

腹部のおおよそ3ヵ所に5〜10mmの小孔をあけ、そこから内視鏡と操作鉗子を挿入し、腹腔内を観察する検査のことです。この検査によって、子宮内膜症病変、卵管の形態、腹腔内の癒着の状態などを診断できます。
また、治療のための装置を挿入すれば、腹腔内癒着の剝離や、子宮内膜症病変の焼灼、卵管形成なども可能です。

付属器切除術、卵管切除術

開腹または腹腔鏡下にて、子宮付属器を切除することを付属器切除術という。子宮付属器とは、卵巣および卵管のことを指している。
それに対し、卵管のみを切除することを卵管切除術という。
妊娠を望む女性にあっては、卵巣を切除することで将来的な妊孕性が失われてしまう。また、望まない場合であっても、摘出することで肩こりや骨粗鬆症といった更年期障害と似た症状を呈することがあるので、十分に検討する必要がある。

●子宮と子宮付属器を切除する場合

卵巣に発生する腫瘍が見られる場合、子宮および子宮付属器を取り除く手術が検討される。特に、がん化が懸念されるのであれば、切除することが望ましい。
卵巣は左右に2つあるが、どちらも摘出する場合は、ホルモン補充療法を行うこともある。

●卵巣を温存する場合の卵管切除

子宮全摘術を行う場合、妊孕性の温存は必要ないので、術後に悪性腫瘍や留水症などを起こす可能性がある卵管は、卵巣温存時にもできるだけ摘出すべきである。

卵管留水腫、卵管留膿腫が認められる場合、体外受精児の着床率の向上を図るため、摘出術を行う場合もある。

不妊検査(基本的検査)

不妊症に対して行われる検査には、次のようなものがある。

●ホルモン検査
月経や排卵に関わる黄体形成ホルモン(LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺ホルモンなどについて調べる。

●経腟超音波検査
卵巣の様子などを確認する。

●子宮卵管造影検査
カテーテルを子宮口から入れて造影剤を注入し、子宮の状態や卵管の閉塞性などを確認する。

●頚管粘液検査
子宮頸管粘液を確認することで、排卵時期の特定や卵巣の状態をみる。

●フーナーテスト
数日の禁欲後、性交をしてもらい子宮頸管内の粘液から精子の状態を確認する。

●精液検査
男性に行ってもらう検査で、精液を採取し、精子の状態を確認する。

●クラミジア検査
クラミジア菌によって卵管癒着が起こる場合があるため、クラミジア菌の有無を確認する。


その他、必要に応じて検査項目を追加していく。

不妊症

生殖年齢の男女が妊娠を希望して、一定期間性生活を行っているにもかかわらず、妊娠しない場合をいいます。その一定期間については、2年というのが一般的でしたが、現在では、12ヶ月以上にわたって規則的に避妊を講じないで性交を試みたとしても、臨床的妊娠に到らない生殖系の疾患と定義されています。

フレンドリー( Friendly )IVF

従来の調節過剰卵巣刺激にかわり、自然周期や、クロミフェンやアロマターゼ阻害剤周期に適度のhMG製剤を使用して行う体外受精のことです。OHSSの発生頻度も低下し、良好胚を得られるとされています。
卵巣機能の低下した若い女性に対しては有効な治療法ですが、高齢女性の排卵誘発法としてはあまりお勧めできる方法ではありません。

プロラクチン( PRL )

乳汁の分泌を促進させる為のホルモンで、このホルモン値が高いと( 高プロラクチン血症 )月経不順や排卵障害を引き起こします。

分娩率

100開始周期、採卵周期あるいは胚移植周期当りの分娩数です。分娩率を示すときには開始周期、採卵周期あるいは移植周期のいずれかを分母として示す必要があります。分娩率には1児以上の生児出産あるいは死産を含みます。単胎妊娠、双胎妊娠あるいは高次多胎妊娠などの分娩は1例として計算します。

閉塞性無精子症

精巣には精子をつくる造精機能はありますが、精巣からの精子の通路が閉塞している状態のことをいいます。原因には、生まれつき精管が欠損している精管欠損症や避妊のためのパイプカット( 精管の結紮術 )、また幼児や小児の時に鼠径ヘルニアの手術にて精管が閉塞してしまったケース、両側精巣上体炎などが上げられます。

乏精子症

精子数が1ml中に2,000万未満しかいない状態のことをいいます。

未成熟卵体外培養法( In Vitro Maturation:IVM )

未成熟の卵子を体外で成熟させる方法のことをいいます。

無精子症

精液中に精子が存在しないことをいいます。精子がつくられていない場合と、射精されるまでの過程で精子が輸送されていない場合があります。

メトホルミン( 薬剤名:メトグルコ錠 )

糖尿病治療薬の1つです。

多嚢胞性卵巣症候群の患者さんの中には、インスリンの分泌が正常な人よりも亢進している人が存在します。この場合、メトホルミンを内服することでインスリン分泌が正常になり、体重が減少します。これに伴い、正常な排卵周期にもどる人もいます。

免疫性不妊

女性、男性どちらか一方、もしくは両方が有する異常抗体によって、精子の運動性や受精能力が障害されたり卵子の発育が悪くなったりすることもあります。抗体が不妊に関与している場合を免疫性不妊と呼び、抗精子抗体などがそれにあたります。

卵 巣

卵子の生成、成熟、排卵を行う生殖器官であり、また卵胞ホルモン( エストロゲン )や黄体ホルモン( プロゲステロン )などを分泌する内分泌器官でもあります。子宮の両側に対称的に存在しています。性成熟期の女性は一般的に28~30日に1回卵巣から排卵が起きます。

卵巣過剰刺激症候群( OHSS )

排卵誘発剤の使用によって起こる副作用の1つです。腹部の膨満感、卵巣の腫大、呼吸器症状、血液濃縮および代謝異常の程度に応じ軽症、中等症、重症に分けられます。重症になると入院が必要になります。妊娠すると重症化するケースもあります。

卵巣茎捻転

卵巣の血流を障害し、時には卵巣組織の壊死をもたらす可能性のある卵巣の血管を含む頚部の部分的あるいは完全な捻転を卵巣茎捻転と呼びます。

卵巣嚢腫メソトレキセート固定術

卵巣嚢腫メソトレキセート固定術とは、子宮内膜症が原因で生じた卵巣嚢腫( 通称:チョコレート嚢腫 )に対する手術です。1泊2日の入院で済みます。経膣超音波ガイド下に卵巣嚢腫を刺し内容を吸引後、メソトレキセートを注入し子宮内膜症を病変のみを死滅させるという治療法です。従来はアルコールを注入していましたが、この方法の方がより安全で正常な卵巣組織へのダメージが最も少ないため2002年より導入しております。詳細は医師、看護婦に相談ください。

卵 胞

卵巣内にある卵子の入っている袋のことをいいます。中は卵胞液という液で満たされています。排卵前には直径18〜20mm程度の大きさにまで成長します。

卵胞ホルモン( エストロゲン:E2 )

卵胞周囲( 顆粒膜細胞 )から分泌されるホルモンで、子宮内膜を厚くし、頚管粘液を分泌する働きなどがあります。

卵胞刺激ホルモン( FSH )

脳下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣に働きかけて卵胞の発育を促します。また少量の黄体化ホルモン( LH )とともに卵胞ホルモン( エストロゲン )の分泌も促します。

卵管疎通性検査

卵管の通りを診る検査で、通気、通水、子宮卵管エコー検査、子宮卵管造影検査( HSG )などがあります。様々な検査法がありますが、子宮卵管造影検査が最も精度が高く、卵管の疎通性だけでなく、子宮腔や卵管の形状、卵管采周囲の癒着の程度を知ることができます。

卵胞期

月経開始から排卵までの時期のことをいいます。基礎体温では低温期を示します。

流 産

妊娠22週未満で、妊娠の継続が終結することをいいます。

  • ・ 稽溜( けいりゅう )流産:胎嚢( 胎児の袋 )は存在するが、胎児を認めないか、胎児は認めても胎児心拍が無い状態の流産です。出血などの症状が無くても、妊娠は順調に経過してません。妊娠週数が正しいならば妊娠7週で胎児心拍数を認められなければほぼ稽溜流産で間違いありません。
  • ・ 切迫流産:下腹部痛、出血など流産の兆候があるけれど妊娠が継続している状態で出産の可能性があるもののことをいいます。
  • ・ 不全流産:胎児や組織の一部が体内に残された流産のことをいいます
  • ・ 反復流産:2回続けて流産することをいいます。
  • ・ 習慣性流産:3回以上続けて流産することをいいます。
良性卵巣腫瘍切除術

一般的に、小さな腫瘍では自覚症状を伴わないことが多いが、時に激しい痛みや巨大化が見られることがある。その場合、内診や経腟超音波、MRIなどを用いて大きさや位置、状態などを確認後、必要に応じて切除を行う。
なお、腫瘍が回転して茎捻転が生じた場合は激しい痛みを感じるため、緊急的に手術を行うこともある。
卵巣腫瘍の約9割は良性だとされ、卵巣腫瘍切除術とともに付属器の摘出も行われるが、妊娠希望の有無や年齢等によって腫瘍のみの摘出にとどまることもある。卵巣は、左右2つあるため、妊娠することは可能である。
しかし、悪性腫瘍や境界悪性腫瘍においては、腫瘍のほか周辺部位の切除も必要となることがある。

●術 式
良性卵巣腫瘍切除術には、開腹手術と腹腔鏡下手術がある。開腹手術は、腹部を切開して腫瘍を確認しながら手術を進める方法。視野が広いため、腹腔鏡と比較して手術の難易度は低いが、侵襲性が高く合併症の頻度も高い。
一方、腹腔鏡下手術は、1cmに満たない切開部分からカメラで腫瘍を確認しながら行う方法。開腹手術よりも傷や痛みが少ないため回復が早いが、尿管や腸管への損傷や出血などの合併症の頻度が高まる。
腹腔鏡下手術の場合、全ての操作を腹腔内で行う体腔内法と、一部切開をして腫瘍内部を吸引して体外へ引き出した後に手術を行う体腔外法がある。

臨床的妊娠
超音波診断で1個以上の胎嚢が確認されるか、確実に臨床的な妊娠の徴候が認められたものを臨床的妊娠と呼びます。その中には子宮外妊娠も含まれます。多胎妊娠の場合には1例の臨床的妊娠とみなします。
臨床的妊娠率
100例当りの治療開始周期、採卵周期あるいは胚移植周期当りの臨床的妊娠数と定義されます。臨床的妊娠率を示す場合には、開始周期当り、採卵周期当りあるいは胚移植周期当りを明記しなければなりません。
ロング法( Long protocol )

卵巣刺激法の1つで、採卵を行う前の月経周期の高温相になってからGnRH-analogue製剤( スプレキニア、ナサニール、プセレキュア )の使用を開始し、下垂体から分泌するFSH、LHのホルモンの抑制をはかります。そして、月経周期3〜6日目からHMG製剤を使用し、卵胞を発育させます。
この方法は、スタンダードな方法であり、様々な施設で多用されています。
HMG製剤の使用開始日を患者さんの希望で設定できるため、採卵日をある程度コントロールすることが可能です。
また、卵胞も均一に発育してくるため、成熟卵を均一に採取することが可能です。

A to Z

AMH( 抗ミュラー管ホルモン )

AMHは、もともと精巣中に存在しミュラー管の退縮を促す物質として同定されました。
1986年にクローニングされると、AMHはTGF-ß スーパーファミリーに属する140kDaのホモダイマー糖タンパクであることが明らかとなりました。
女性においては出生後の一次〜前胞状卵胞、小胞状卵胞の顆粒膜細胞で産生されますが、AMHの機能はDurlingerらのノックアウトマウスを用いた研究により、その概要が明らかとなっています。
ノックアウトマウスでは、原始卵胞の消失速度が速く、前胞状卵胞および小卵状卵胞数が増加しており、FSH刺激による卵胞発育も亢進しています。すなわち一次卵胞、前胞状卵胞、小胞状卵胞で産生されたAMHは、原始卵胞のリクルートメントと胞状卵胞以降のゴナドトロピン依存性の卵胞発育を抑制するという作用を有し、二重に卵胞の枯渇を防ぐメカニズムであるということができます。

de Vet et al. は、正常排卵周期を有する女性で、血清AMHは加齢とともに減少し、胞状卵胞数と年齢に良く相関することを、Seifer et al. は、採卵数6個以下と11個以上の群で、血清AMHに有意差があったことを、それぞれ報告しています。このAMHを測定することで、卵巣にあと卵子がどのくらい残存しているかを正確に知ることができるようになりました。AMHの測定は、血液検査で簡単に測定できますが、まだ日本では保険診療が認められていません。

AMH検査
AMHの数値は卵巣内にどのくらいの卵の数が残っているか( 卵巣予備能力 )を反映することから、不妊治療選択の目安や閉経年齢の予測などに使用されています。
Antagonist法
GnRH-analogueを全く用いずに、Stimulationを行う方法です。この方法は当院ではARTの初回クールには基本的には用いません。理由は、卵胞発育において発育卵胞の径が均一せずバラついてしまうことが多いからです。Long protocol法では胚の質が不良である症例、重度の多嚢胞性卵巣症候群でLong protocol法だと重症OHSSが予測される症例が適応となります。
ART

妊娠を促す目的で卵子と精子の双方あるいは、胚を in vitro ( 体外 )で操作する処置あるいは治療法のことをいいます。

この中には、lVF-ETに制限せず、ICSI、GIFT、ZIFT、配偶子と胚の凍結保存、卵あるいは胚の提供、さらには代理母出産なども含まれる。

HCG( ヒト絨毛性ゴナドトロピン )

胎盤性ゴナドトロピンともいわれ、黄体化ホルモン( LH )作用があります。排卵誘発剤や黄体機能賦活剤として注射します。

HMG( ヒト閉経ゴナドトロピン )

排卵誘発剤です。閉経後の女性の尿から抽出した製剤で、強力な卵胞刺激作用があります。基本的な構成部分は卵胞刺激ホルモン( FSH )と黄体化ホルモン( LH )で、その割合は製品によって異なります。

LHカラー( 尿中 )

排卵時にLHホルモンが放出( サージ )されることから、尿テストで、排卵日を推定できます。

microTESE

顕微鏡下で精巣の一部を採取し、その中に含まれる精子を採取する方法をmicroTESEと呼びます。

Minimal Stimulation法

以前より自然周期による採卵、またはクロミッド周期による採卵、Clomid-HMG周期により採卵するという方法は報告されていました。この方法はOHSSのriskがなく、Friendly IVF( 身体にやさしい方法 )とのキャッチフレーズで一部の不妊施設で用いられていますが、具体的、臨床データの報告がなく、その治療は疑問視されていました。

Hum Reprod .2006 Sep ,21(9)2375-2383 では、Minimal Stimulation法によるIVFの成績は、1回あたりの継続妊娠率は8.3%、3回までの累積妊娠率は20.8%であると報告されています。2002年のヨーロッパにおける採卵あたりのIVFの臨床的妊娠率は26.0%であるので、この排卵誘発法はコストパフォーマンスからみても、第一選択となるとは言えません。
しかしShort protocol法でも卵胞発育を認めない卵巣機能が低下した比較的若い女性に対しては、この方法は有効であるとの報告がありました。

MRI

磁気共鳴画像診断装置( 磁気を使用し身体の断層写真を撮影する検査機器 )で、婦人科においては、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの診断に役に立ちます。

TESE-ICSI

無精子症の患者の精巣より、外科的に回収した精子を用いて、顕微授精することです。

  1. トップ > 
  2. 用語集