男性不妊検査・治療Male infertility
男性不妊症とは
不妊と聞くと、昔から日本では女性に問題があると考えられることが多く、それが原因で女性が苦しい立場に立たされることが多々ありました。不妊とは女性だけの問題なのでしょうか?
もちろんそんなことはなく、WHO(世界保健機関)の不妊症原因調査では、男性にのみ原因がある割合が24%、女性にのみ原因がある割合は41%、男女ともに原因がある割合が24%、原因不明な割合が11%と報告されており、男性に起因する不妊は48%と約半分となっています。
厚生労働省研究班は2015年度、国内の医療機関39施設の患者約7,300人を対象に男性不妊の要因を調査し、男性不妊の主な原因は下記の3つに分類されると発表しました。
精子の通り道が詰まるか
狭くなっている
勃起や射精ができない
精子を作る機能が低下
この3つの原因を細かくみると以下のような問題や異常による障害であるといえるでしょう。
- 輪精路の閉塞(①精路通過障害)
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外傷、感染症による
- 内分泌(ホルモン)異常(③造精機能障害)
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ホルモンバランスの乱れ等が原因で精子の産生が正常に行われない状態
- ②性機能障害
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勃起障害や射精障害、性欲障害等により精子が配偶者の生殖器官に到達できない場合
- 精巣の問題(③造精機能障害)
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先天性や外傷、精索静脈瘤、感染症等により精巣委縮や損傷が起きている状態
- 先天的・遺伝的な要因(③造精機能障害)
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遺伝子異常や染色体異常等による精子生成障害が起きている状態
- 生活習慣などによる要因(③造精機能障害)
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喫煙、過度の飲酒、過度のストレス等により精子の数や運動機能が低下し、精液の質に悪影響が起きている状態
- 薬の副作用、その他の原因(③造精機能障害)
男性不妊症の原因は多種多様であり、単一の要因だけでなく複合的な問題も関与しています。
正確な診断には詳細な検査が必要であり、原因の特定により適切な治療法が選択されます。
ですから、もし赤ちゃんを希望されていながら、1年以上経っても妊娠の兆しがないときには、まずご主人から不妊検査を受けるという方法もありますがいかがでしょうか?
不妊は女性だけの問題ではありません。子育てなどと同様に、ご夫婦が力を合わせて取り組むべき大切な人生の課題の1つです。
是非、ご夫婦お二人で共に解決なさってください。
主な男性不妊検査例
- 問診、視診、触診検査
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問診は、一般的な健康状態のほか、普段の生活習慣や睡眠時間、性交渉の頻度などについてお聞きします。また、過去の病歴や既往症について細かくお聞きする場合がございますので、事前に確認をお願いできればと思います。
次に外見を診断する視診ですが、主に体型等からホルモン異常の可能性を見たり、精巣、陰嚢の形・大きさが正常か等を診察します。
そして触診では、実際に精巣の硬さや大きさを実際に触って検査します。これは、精巣が小さい場合や柔らか過ぎる場合は、精巣委縮や停留精巣の可能性があるからです。
また触診では、それ以外にも精管の異常、精索静脈瘤の有無等、不妊の要因となる可能性の高い異常を診察します。
- 精液検査
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男性不妊症の診断・治療において最も基本かつ重要な検査が精液検査です。
精液の量、比重、濃度、酸性度(pH)、運動率、奇形率などを検査します。
具体的には、3~4日間の禁欲をお願いしており、ご来院いただき院内の精子採取室にて採取をお願いいたします。検査結果は、当日判明します。
- 超音波検査
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陰嚢部にゼリーをつけて、超音波(エコー)を出すプローブを当て、モニター画像で精巣の状態や、容積、精索静脈瘤の有無、精路閉塞の疑いがないかを確認します。
- 内分泌検査
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血液中の卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)、テストステロンを測定し、脳の下垂体や精巣の機能について調べます。
これらのホルモンの値から、いろいろな病気のパターンを推測しますが、FSHが顕著に上昇している場合、精子を作る働きに問題がある可能性が高いです。
- 治療
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- 内科的療法:ホルモン療法、ED治療
男性不妊検査の流れ
精液検査の場合
電話またはWEB予約フォームにて検査の申し込みをお願いいたします。
ご来院いただいたら、看護師とのカウンセリング時間を設けておりますので、ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。
精液検査では、通常2〜5日程度、精液を採取しない禁欲期間を設ける必要がございますので、来院日に合わせて患者様ご自身でご調整ください。また、精液の採取は院内の採精室にてお願いいたします。
提出いただいた精液は、臨床検査技師により「精液量」「精子の数」「運動率」「正常形態率」などを検査します。
医師がアドバイス
医師から検査結果を詳しくご説明させていただき、今後の不妊治療について的確なアドバイスをさせていただきます。
男性不妊における主な症例
- 男性性機能障害(勃起障害、射精障害)
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男性が性行為を行ううえで、どこかに問題が生じていたり、不十分なものを男性性機能障害と言います。男性性機能障害は、十分な勃起が得られないか、または維持できないために満足な性行為を行えないEDと呼ばれる勃起障害と、何らかの原因で射精ができない、もしくは適切なタイミングで射精できない射精障害に分けられます。
- 精液異常(無精子症、高度精子減少・無力症 等)
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精液の異常は、主に精子の数の異常(乏精子症、無精子症)、精子の運動率の異常(精子無力症、精子不動症)、精子の形の異常(奇形精子症)に分けられます。精液に異常がある場合は、一般的に一つの異常だけではなく、複数の異常を併せ持つことが多いです。
- 精索静脈瘤
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精巣やその上の精索部に静脈瘤(静脈の拡張)がある場合、これを精索静脈瘤と言います。静脈が瘤状に鬱血することにより陰嚢内の温度が上昇して、精巣の発育不全、精子の形成不全を引き起こし、不妊症の原因になります。
- クラインフェルター症候群
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クラインフェルター症候群は、男性の性染色体にX染色体が一つ以上多い染色体異常による疾患です。この染色体異常により、性腺機能が低下し不妊症の原因になります。
- 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
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低ゴナドトロピン性性腺機能低下症とは、男性で性ホルモンが低下する疾患で、精子が作れないため不妊症の原因になります。
男性不妊外来の診察内容
| 概要 |
中央クリニック
なお、あらかじめ必要な検査を受けていただいてからの診察のご予約となる場合もございますので、詳しくは直接お電話にてお問い合わせください。 |
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| 対応症例 |
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| 診療内容 |
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